Besitos

愛または笑いを込めて

真面目に愛をしてみた:フロム『愛するということ』&実践(済)

未熟な愛は言う、「愛しているよ、君が必要だから」と。

成熟した愛は言う、「君が必要だよ、愛しているから」と。

 

みなさんこんにちは、コスタリカで外出自粛中も愛にあふれるMATSUKOです。

冒頭の深すぎる文章は『自由からの逃走』(1941年)などで知られるドイツの社会心理学者、エーリッヒ・フロム(Erich Fromm)『愛するということ』より引用しました。

 

現在コスタリカに留学中ですが、授業は今月からすべてオンラインへ移行。

不要な外出は禁止されており時間があり余るので、『愛するということ』の英語版『The art of loving』を熟読して一人の時間を楽しんでいます。

耳が痛くなるくらいごもっともで「そうよね、そうよね」という記述が多いのですが、

要するに、愛とは「能動的な活動」であり、「受動的な感情」ではない、という点が大切なんじゃないかとMATSUKOは感じました。

 

さて。

曰く、愛の技術獲得にはセオリー理解実践が必要とのこと。

というわけで、

「どこかに実践の機会がないかしら・・・」

と考えていたところ、偶然にも仲良しの友達から愛の実践を学ぶ機会が得られたので、以下に実体験として報告させていただきます。

 

(確認事項)

・これはMATSUKOが親しくなった、中南米出身のクラスメート・チコ(仮名)から実践として学んだ愛情表現です。彼の言動があまりに愛の考察に優れていたので、少しでも参考になればと思い紹介しますね。

・チコは2019年8月の入学時に出会った学生で、同じ環境学部で一緒に授業、フィールドワークに出かけた仲ですが、特に恋人同士というのではありません。

・日本でよく「イタリア人は挨拶のようにナンパする」と言いますが、そんな感じのコミュニケーションを想像しながら読んでいただくと、イメージしやすいかなと思います。

※あくまでも恋愛には個人差があります。

 

1.愛の挨拶がすごい

ハグなどのスキンシップが多めなのはコスタリカにきてずっと感じていることなのですが

チコの場合、朝ハグしてきて「Honey」とか言ってきます。

日本人のMATSUKOからすると「いや付き合ってないけど?」と突っ込みそうになるところですが、チコ以外の中南米出身の男子学生も、仲良い女友達を「Honey」と呼んでいました。

これは言語の問題かなと思うのですが、

「Amor(愛)」「Linda(可愛い人)」「Hermosa(美しい人)」「Preciosa(大切な人)」…などなど、さまざまな呼びかけが豊かな愛情表現を演出します。

たとえばホームステイ先でもよく、親が子供を、またはパートナー同士で「Mi Amor」と呼んでいます。

コミュニケーションとしてのキス(スペイン語でBeso)も多いので、人前で普通にキスするのはもちろん、

チコは電話やテキストで「Besos」と言ってくれたりします。

月がきれいですね」と婉曲に愛を伝えた日本の奥ゆかしさとは真逆。

LINEで「キス」とか、文章で送らないですよね・・?

送るとしてもスタンプとか絵文字とかが多いのでは。

きっとそこが、日本らしさなのかもしれません。

 

 

2.愛の告白がすごい

「僕は君が好きだよ、君も僕が好きだよね。僕の好きなところを教えてくれる?」

金曜の夜にパーティーでチコとダンスした後、

MATSUKOを呼び出して伝えてきた言葉がこれ。

いや、好きって言ってないけど…もちろん友人としては好きだけど。

まぁここまで言われたら何かしら考えますよね。彼の好きなところ。

見習ってしまったら事件が起きそうなくらい、すごい積極性だと思います。

他にも食堂で「今日かわいいね」と耳元でささやいてきたり、

突然「君の出す騒音すべてが聞きたいんだ(性的なニュアンスで)」と声をかけてきたり、

従来のMATSUKOの感覚とは全然違いすぎて、

「よくこんなこと言えるなあ、でも何だかんだ嬉しいし、愛を言葉にするっていいな」

と毎回感心していました。

…でも日本にこんな人いたらやばいですかね。

これらを容認しているMATSUKOも、だいぶコスタリカに慣れてきたのかもしれません。

 

 

3.別れ際がすごい

そんなこんなで仲良くなったチコとMATSUKOですが、今回のコロナ騒動でチコは国へ帰ることに。もっと一緒にいたかったのに残念…

よく夕日を見に、夕方街を散歩していたチコとMATSUKO。

二人で最後の夕日を眺めているとき、MATSUKOは

「Eres mi precioso amigo, te quiero(あなたは私の大切な友人、大好きよ)」

とチコに伝えました。

するとチコは真っすぐとMATSUKOの瞳を見つめて

We will be here sharing the sunset forever

という言葉を贈ってくれたのです。

僕たちは夕日を見ながら、永遠にここにいるんだよ

短い間ながらも、チコの表現力、想像力、洞察力、観察力に触れてきたMATSUKOにとって

この一言は本当に感動的でした。

ひと一人の人生の意味をまるっと肯定するほど、価値のある言葉だと思いました。

 

何てこったい、ぐうの音も出ないよ。

 

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コスタリカの夕日。山に太陽が沈んでいき、空の色の変化を楽しめる。

 

—— そして同時にMATSUKOは、敬愛するブラックジャック先生の

「この瞬間は永遠なんだ」を思い出していました…

cinemagene.com

 

  

(MATSUKOの学びと変化)

さて、物足りなさが残るかもしれませんが実践ストーリーはここで終了します。

やはり「愛をする」ために自発的な行動(恥ずかしがらず相手に声をかけて愛を伝える)は大事だな、とチコとのやりとりのなかで感じました。

だからチコから誘われるのを待つんじゃなく「今日会わない?」などと自分からもマメに誘いました。

チコに出会った後の自分の変化として、そこまで親しくなかった友人に積極的に声をかけたりするようになったし、ホームステイ先での会話も増えました。

愛は広がっていくもので、でもそれがエゴにならないために、忍耐や知性も必要だなと感じているところです。

このあたりは一生の訓練であり、楽しみなんだと思います。

 

 Muchas gracias por tu dulce amor (甘い愛をくれて、本当にありがとう)

 

 それでは失礼します~

 

※あくまでも恋愛には個人差があります。

※MATSUKOは皆さんの素敵な恋愛を応援しています。