Besitos

愛または笑いを込めて

日本では教わらない「気候変動ガバナンス」①

 

こんにちは、MATSUKOです。

 

2月に受けた「気候変動ガバナンス」の授業が、大学院で受けた中で一番面白く、

また今後のキャリアとしての「環境広報・ジャーナリスト」の方向性に確信が持てたので、授業で学んだことをシェアしていきたいと思います。

授業は全15回だったのですが生徒のプレゼンテーション等もあったため、内容を整理して、ブログは全10回ほどでお届けしていきます。(ただしあくまでも予定は未定・・)

 

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コスタリカ国連平和大学で3週間(全15回)にわたって開講された「気候変動ガバナンス」。2020年はこの分野で国際的スペシャル・イヤーらしい。

INDEX

 

 1. 「気候変動ガバナンス」とは何か?何のための勉強なの?

 

 気候変動ガバナンス(Climate change governance)とは、自然科学と政治活動のバランスを意味する。

 

具体的には、外交メカニズム法整備政治的手段のための勉強です。代表的な例として国連気候変動枠組条約締約国会議(COP)などがあげられます。

 

▼国連気候変動枠組条約締約国会議について詳しく知りたい方はこちらへ。

 

www.env.go.jp

 

2.Melania Guerra (講師)について

コスタリカ国連平和大学のゲスト講師、メラニア(Melania Guerra )はコスタリカ人。

アメリカで海洋学を学び、NASAでの勤務経験ももつ科学者。

南極遠征の経験を持ち、現在は気候変動および海洋保護のアドバイザーとして第一線で活躍しています。

ticotimes.net

 

昨年マドリードで行われたCOP25にも参加したメラニア。

科学者ということで初日は「どれだけ小難しい理論系の話をされるんだろう・・」と正直不安しかありませんでした。

しかし驚いたことにメラニアの話し方やプレゼンは文系のMATSUKOにも非常にわかりやすい。

彼女は学生からのコメントを真摯に受け止める、素晴らしいコミュニケーターであることがすぐに伝わってきました。

 

3. 自分の国の温室効果ガス排出量を見てみる。

授業で初めに使ったのが、

#ShowYourStripというツール。

年間の平均気温の推移を、青(下降)から赤(上昇)の色から、視覚的に把握することができます。

showyourstripes.info

 

ちなみに日本はこんな感じ。

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Warming Stripes for Japan from 1901-2018

 

コスタリカは日本に比べて濃い赤(著しい気温上昇)が少ない。

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Warming Stripes for Costa Rica from 1901-2018

データの正確性がどこまでかはわかりませんが、各地域での比較や推移の参考にはなると思います。

 

4. 気候変動と科学の歴史

ひと昔前までは「気候変動は本当に起きているのか」という議論がなされていて、今では99%の科学者が「今起きている気候変動に人間活動が影響している」ことを支持しています。

気候変動と科学の歴史を知ることは、これまでの人類の歩みと現状把握、また今後の指針を考えるうえで非常に大切だと感じました。

気候変動の議論は最近始まったように感じられることもありますが、科学者たちは産業革命の頃からそのメカニズムを研究、発表していたのです。

 

・1712年:トーマス・ニューコメン(Thomas Newcomen)、蒸気機関を発明。産業革命(18世紀後半)に貢献。

1800年世界人口が10億人に到達。

・1824年:ジョセフ・フーリエ(Joseph Fourier)、自然の温室効果効果を発見。

1850年世界初、科学的に信頼できる気温が記録される。

・1896年:スヴァンテ・アレニウス(Svante Arrhenius)、石炭の燃焼が地球規模の温暖化を引き起こすと発見。この現象は将来世代にとって有利に働くだろうと提唱した。1958年:チャールズ・デービッド・キーリング(Charles David Keeling)、「キーリング曲線」にて年代と二酸化炭素濃度を記録し始める。季節性の二酸化炭素濃度の変化が発見される。

・1987年:モントリオール議定書で、オゾン層を破壊するフロンの使用制限が明記される。

 

 

 

5. まとめ&学生たちの反応

科学の歴史をひもとくとわかるのが、その歴史が、おもに「白人男性」によって作られてきたこと。

ラニアはその点を問題提起していました。(この問題提起に対するアイデアは今度紹介していきます)

 

個人的には、以前広報として働かせていただいた環境NGOグリーンピース・ジャパンの歴史的成果である「ノンフロンガス冷蔵庫の開発・製品化(1997年)」の元は1987年のモントリオール議定書だった、というつながりが新鮮で驚きでした!

これまではるか遠くに感じられた世界規模での条約が身近な自分の生活に影響していて、誰かとつながって行動を起こせば、それらを変化させたり、スピードを加速することができるのだと実感。

一人で静かに感激してしまいました。

www.greenpeace.org

 

ただ、農作業の現場が好きだったり、政治的・外交的手段にあまり関心のない学生にとっては退屈だったり、難しく感じられる内容かもしれないという印象も受けました。

 

最後に、シリーズタイトル『日本では教わらない「気候変動ガバナンス」』について。

日本で同様の内容のことが教育現場で教えられているか、実際には調査をしていません。

あくまでMATSUKO個人の経験から「こんなことは教わらなかったな。メディアを見る限り、今もきっと教えていないな」と考え、タイトルを付けました。

なので、「日本でもこんなことが学べる」「日本だとこのような別の視点がある」などというコメントがあれば、ぜひ教えてくださいね。

 

それでは失礼します~